はこのなかにはゆめがある

音楽と本と日常について。目下のところ、黒猫チェルシーに夢中。

休職中に転職した話。

せっかくブログを始めたんだから何か書きたいけど、何について書こうかね、と考えながらお風呂に入っていたところ、「転職」の二文字が頭に浮かんできました。ということで、今回は風呂上がりの水を飲みながら、自分が最近した転職について書こうと思います。
とはいえ、結果から言うと私は知人の紹介で今の会社に入ったので、転職マニュアル的なテイストをお求めの方は本屋に走ってください。「色んなテクニックを駆使して、いくつも内定を貰ったよ!」などという内容ではありません。しかも、休職中に転職という行為は基本的にマナー違反なうえ、色々面倒なので一切おすすめしません。
これは変に開き直り、全方位に対して正直に「びょーきなう! でも、てんしょくきぼう!」と宣言してみたら、運良く転職できたというだけの話です。
転職する前の私は、コールセンターでオペレーターとして働いていました。感情労働と言われることもある、この仕事。職場の人間関係は良好で、残業も少なく、休みもとりやすくて、福利厚生も充実。それでもストレスで体調を崩し、辞めていく人が後を絶たないほど、それは厳しいものでした。コールセンターについて書かれたエッセイ、榎本まみさんの『督促OL 修行日記』でうっかり泣いたのはこの私です。
さて、この職場でなんとか働いて4年経とうとした頃、例に漏れず私も体調を崩しました。いろんなところが痛いし苦しいのに、内科に行っても耳鼻科に行っても原因は不明。この時は毎朝、「今日も生きてた、よかった」と思うほど、自分の体に不安を抱えていました。
そしてこうなると認めざるを得ない、「原因は仕事のストレスじゃね?」という心の声。転職はしたいと常々思っていたし、仕事もつらいかと問われれば大変つらい。でも4年近く働いておいて、今更? そう思いながらも心療内科に突撃したところ、症状からみるに全般性不安障害強迫性障害だろうと診断されました。なにそれ、前者の病名聞いたことねえ。後者はゴールデンボンバーのキリショーがなってたやつ。気になるひとはぐぐってね。
私は実感もわかず、よくわからないながらも、診断を受けると同時に決意しました。これ以上、体を壊すくらいなら、転職してやる。
幸い、同時期に知人から「私の働いている会社で求人が出ている」と話をされました。しかも、私が働きたかった部署で募集がかかっているとのこと。「その話詳しく」と興味津々で聞きながら、転職の準備を進めていきました。
休みがちになっていた会社では上司に対して、病気のことと、休職や転職をするかもしれないということを馬鹿正直に伝え、退職をにおわせておきました。いきなり辞めるのもね、あれだからね。
これで仕事を続けながら転職活動をできていれば、色々なことがもっとスムーズでしたが、私はそこまで器用じゃなかった。治療を受けているにも関わらず、仕事に支障が出るほど体調を崩したままでした。そこで、お医者さんに「休職がしたい」と直談判。「転職を考えていて、そのことは上司にも伝えている」ということまで正直に伝えた上で、休職のための診断書を書いてもらいました。
それから休職に入った私は無敵モード。仕事のストレスから解放され、全力で転職活動ができるようになりました。ただ、気がかりなのは休職中であることが、転職に影響しないのかということ。そこでインターネットで調べたところ、本来、休職はまた元気になって(もちろん元の会社で)仕事を続けることを前提にしたものであり、その状態で転職活動をするのはおかしいという旨が書かれていました。中には、精神的に調子を崩したのであれば、それが治ってから転職をしないとまた新しい職場でも同じことを繰り返す可能性があるという話もありました。そのことから、休職中であることを転職先に伝えるべきか否かでも、様々な意見がインターネットの波に漂っています。
ちなみに転職のタイミング次第では後々、源泉徴収票で休職のことが伝わる可能性が高い上、体調のことを隠して転職しても、それこそそれまでの二の舞になる可能性があるので、どうしても休職中に転職せざるを得ないのであれば、そのことを正直に伝えることを私はおすすめします。私も「休職中であること」「転職希望だと医師に伝えた上での転職活動であること」「予定している休職期間」「自分の病名」「退職日は未定で、退職時は少なくとも1ヶ月前には職場にその旨を伝えたいということ」これらすべてを転職先に伝えていました。面接でいきなり病名をべらべら喋っても社内で情報を共有しづらいと考え、長々とメールでおしらせ。会社を紹介してくれた知人にも「これらが理由で落ちるかもしれない、ごめんなさい」とあらかじめ伝えておきました。
ところがどっこい、人生はどう転ぶかわからない。筆記も面接もするりと乗り越え、気づけば内定を手にしていました。そこらへんの詳細こそが知りたいんだ馬鹿、というそこのあなたは冒頭でお話した通り、本屋へどうぞ。詳細をお話したいのは山々ですが、本当に特筆すべき事件もなく、やったったぜな武勇伝もなく、あっけない内定でした。こればっかりはご縁(と、今回はコネ)としか言えない。
内定通知の電話をくれた人事のお姉さんが「弊社に来ていただけますか……? よかったです! 面接した二人覚えてます? あの二人も、佐々木さんが来てくれるか心配してたんですよー! 入社して頂けるって伝えますね!」と優しさ全開だったのが忘れられません。
そして、お医者さんと「転職に対して不安はないですか?」「特にないです!」という会話を何度も繰り返し、入社日が近づいたある日。
まさかのウイルス性胃腸炎襲来。
働いてない期間が1ヶ月半あったのに、なんで入社直前でこんなことに??? 日頃の行い????
内科のお医者さんに「3月1日までには治したいんです、転職先の入社日なんです」と泣きついて、どうにかこうにか入社日には体調が元に戻りました。このハプニングで愛する黒猫チェルシーのライブを断念したのもまた、忘れられない思い出。
そして迎えた入社日。既にまわりがめっちゃ優しい。ウェルカム感すごい。私、安堵。
今では親しくなりすぎて、他部署にいる同期から「わかった! 佐々木さん、どえむだ!!!!」と全力で言われるようになりました。どえむじゃないわよ!
危惧していた体調の悪化も一切なく、出社が苦痛ではないことが新鮮な毎日です。めちゃくちゃ元気で食欲も旺盛。毎日楽しい。
転職してすぐに美容室に行った時、美容師さんに「転職して良かったと思う?」と聞かれて「はい!!」と答えたところ、「じゃあ、転職成功だ!」と言われて、本当にしみじみ幸せでした。
まだまだこれから覚えることは山積みで、成功かどうかなんてすぐには判断できないものだとは思いますが、少なくとも今の私は、この転職に大変満足しています。
こんな転職話もあるんやでと、インターネットの波に放り投げて布団に入ります。良い夢見ろよ!!

第1回読書会指定図書『ビューティーキャンプ』

本が好きと公言しておきながら、最近、本が読めなくなりました。
正確には、読む気力がなくなりました。
こう言うと何やらまわりから心配されてしまいそうですが、仕事の環境が変わってストレスが減り、程よい疲労で夜はぐっすり眠り、休日は友人と遊び、大変良い感じの生活を送っております。
それではなぜ、本が読めないのか。色々考えてみましたが、恐らくストレスから解放されたことで脳がフル回転をやめ、ゆるやかな活動になってしまったことが考えられます。
思考がシンプルであるということ、それ自体は決して悪いことではありません。「眠いから寝る」「お腹が空いたから食べる」、これらはとても自然であり、健康的です。よく遊び、よく食べ、よく眠る。理想的ですらあるこの生活に満足ができないのは、きっと私たちが欲張りだからです。考えすぎなほど考えて、深読みして、色んな楽しみを貪欲に味わいたい。
そしてその「私たち」には、私の同期が含まれます。それがわかったのは先週の金曜日のこと。その日、「鰹の塩たたきが食べたい」と同期からLINEが届きました。鰹の塩たたき。我々の住む高知の誇るべき食べ物ですが、この素晴らしさを語ると本筋から離れてしまうため、今回は割愛します。
鰹の塩たたき担である同期は、同時にジャニヲタであり、読書家でもあります。しかしながら、彼女もまた私と同じように本が読めなくなったというではないですか。思考がシンプルになった、趣味にも力が入らない、よく眠り、仕事のストレスは減っている。同じタイミングで同じ状態になった我々は、三連休を目前にこう考えました。
三連休中に二人で同じ本を読んで、読書感想文を書こう。
大変唐突ではありますが、ここで読書会発足です。思い立ったが吉日、同期の運転する車に乗せてもらい、雨のなかTSUTAYAへ。文芸コーナーを練り歩き、目についたのが林真理子さんの著作『ビューティーキャンプ』。この作品は、ミス・ユニバースの称号を得るために集まったファイナリストである美女たちが、エルザの指導のもとで2週間の厳しいキャンプに耐え抜き、より美しくなっていくというものです。
なんだこりゃ面白そうだな! と意見が一致し、第1回読書会の指定図書は、この本に決まりました。
※ここからは作品のネタバレも含むため、ご注意下さい。
念のため最初に申し上げておくと、私は美女ではありません。間抜けで悲しい宣言ですが、美からはかけ離れたところに立つ人間です。卑屈な性格で中身も美しいとは言いがたく、正直にいうと、ミス・ユニバースにそこまで強く興味を持ったこともありません。私は美しい見た目を持つ人を前にすると、それが異性であれ同性であれ、強い憧れと嫉妬心を抱きます。決定的に自分と違う人たち。元々卑屈な性格が、さらに卑屈に、醜くなるのが実感できます。ここを隠してしまうと、この読書感想文は成り立たなくなってしまうので、今回は正直に参ります。
ただ、この小説に出てくるカレンたちのような、飛び抜けて美しい華やかな人たちは、羨みを飛び越して「別世界の生き物だ」と認識してしまうため、そこまで拒否反応は出ません。逆に言えば、その(一方的な)心の距離ゆえ、親しみを抱くこともありません。
そのため、この小説を読むとき、私は少しだけ不安でした。女性同士で築いていく人間関係を描く作品は大好物だけれども、それがすべて美しい人物となると、心の距離が生まれて作品にのめり込めないかもしれない。
けれどもそんな心配は、読み始めるとすぐに吹き飛びました。心の距離なんか無視して胸ぐらを掴んできそうなエルザと、様々な思いを抱きながらもエルザの言葉を通訳する由希。そして、美しいながらも、それぞれに弱点を抱え、それを乗り越えるためにキャンプで鍛え上げるファイナリストたち。
中でも興味を持ったのが、愛嬌があって体型がぽっちゃりしている最年少、十九才の村井桃花でした。このファイナリストたちの中でのぽっちゃりなんて正直、ぽっちゃりでもなんでもないと思いますが、怒られても悪びれず小さく舌を出してまわりを和ませ、キャンプ中にこっそりチョコレートなんて買ってしまう彼女のことを、私はすぐ嫌いになりました。美しく、愛され、でも完璧ではない女の子。怒られたときに深く反省している様子もないのに許されてしまう、その愛嬌。嫌い、ではなく、正確には「許しがたいほど羨ましい」のですが、思考がシンプル化している私は「嫌い」と判断しました。
けれど、物語が進むにつれ、彼女は真剣にキャンプに取り組むようになり、より磨かれた美しさを、魅力を身に纏うようになります。そして私は、彼女を嫌いながらも目が離せないのです。「嫌い」の裏にあったのは、「親しみやすさ」と「興味深さ」でした。
由希が桃花を見守り、心から心配するように、いつの間にか私も桃花を見守っていました。エルザの寵愛を受けていない彼女は、恐らく日本代表にはなれない。それでも、この子がどう変わっていくのか見届けたい。そう思うようになっていました。
弱くて少し愚かでダイエットを実行できない桃花。それがいつのまにか、エルザにも屈しない強さを持つ、魅力的な女性に変わっていくのです。目が離せるわけがない。そして、好きにならないわけが、ない。彼女を嫌いだと思っていた私は、彼女がティアラをかぶる時、確かに嬉しかったのです。私がファイナリストたちの中で一番心を寄り添わせたのは、他でもない村井桃花でした。
桃花だけではなく、他のファイナリストたちについても、彼女たちが弱さを見せるごとに好きになっていきました。思考停止寸前になるよりも前から、私は美を生まれつきの才能だと思っていましたが、それを磨きあげ、いかすのは、紛れもない本人の努力です。そして、それは生まれつきの聡明さを学びによっていかしていく人と、なんら変わらないのです。美とは力であり、堂々と讃えるべき魅力であると、この本は教えてくれました。
最後に、この本に出てくる唯一「美しくない」女性、ユリ。ユリが変わっていくのを見たかったのは私だけではないと思います。そんなあなたにおすすめしたいのが、柚木麻子さんの著作『嘆きの美女』。『ビューティーキャンプ』よりももっとポップな作品ですが、卑屈で外見も美しいとは言い難い主人公が、美女たちによって変えられていく話です。改心した美女になるという話ではなく、性格は変わらないまま突き進んでいくのが爽快で好き。
他の作品に話がとんでしまいましたが、『ビューティーキャンプ』は私のなかに「美」の種をまいていった気がします。これを育てるか枯らすかは自分次第。
感想文に夢中になってさっそく夜更かししてしまったので、美に近づくべくはやく寝ます。日付は変わったけど、私が寝るまでは三連休だから! セーフだということにしてください!
私と同期の他に、我々と仲が良い私の先輩も読書会に入ってくれたので、明日起きてから二人の感想を読むのが楽しみです。それでは、おやすみなさい。

そうだ、ブログ始めよう。

そう思い立ったのが、もう数ヶ月前のこと。

ようやく重い腰を上げて始めてみました。

初めまして、佐々木と申します。四国高知で、ぬるっと暮らしております。なにかにつけて、「こんなおとなになるはずじゃなかった……でも楽しい」と呟く、アラサー社会人でございます。

趣味は本を読むことと、ライブに行くこと。寝転がって本を読み始めると時間が経つのを忘れるし、ロックバンドのライブで拳を突き上げて盛り上がるのも、ヴィジュアル系バンドのライブで頭をぶんぶん振るのも、お笑いライブでげらげら笑うのも大好き。

最近はアイドルにも興味を持ち始め、コンサートできゃっきゃしてえな、女性ホルモン分泌しそうだな、と思いながらDVDを見ています。

文章を書くことも大好きですが、好きなことを好きなように書くだけなので、基本的には自分だけが楽しい感じです。このブログも、自分が楽しむために始めました。

これから色んなことを書いては一人で何度も読み返す予定ですが、「なんか書いてんな」と覗いて下さる方がひとりでもいれば、より幸せです。

それでは、読みたい本があるので本日はこのへんで。